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米朝さん作「一文笛」自筆原稿を大阪で初展示~五年祭特別公演記念

米朝パネル展について説明する(右から)桂米団治副会長、小澤紘司さん、古川綾子さん

 天満天神繁昌亭では、今月24日(月)から昼席で1週間、没後5年を迎えた文化勲章受章者で人間国宝・故桂米朝さんを追善する「米朝五年祭特別公演」を開催するのに先立ち、きょう3日からロビーで、記念の「直筆原稿パネル展」をスタートしました。30日まで。

 会場には、今回の監修を担当した落語研究家の小澤紘司さんと国際日本文化研究センター助教の古川綾子さんが平成24年、米朝さん宅で資料整理中に発見した昭和34年初演の自作落語「一文笛」の自筆原稿15枚や、昭和34年の三越落語会から平成14年の東京・歌舞伎座公演までのポスターやプログラムなどをまとめた特大パネル(縦84㎝、横3m)をはじめ、大阪・サンケイホールなどでの独演会の写真や年表などを展示しています。本来は今年春の特別公演に合わせて展示される予定でしたが、新型コロナ禍により、特別公演とともに延期を余儀なくされました。「一文笛」の原稿公開は大阪では初めてとなります。

 公開前には記者会見が開かれ、米朝さんの長男で、上方落語協会副会長の桂米団治師と小澤さんと小澤さん、古川さんが出席。米団治副会長は「ロビー展示と特別公演で米朝を奉ってくださり、私にとってこんなにうれしいことはありません」を感慨深げにあいさつ。

 また、スリを主人公にし、現在は多くの落語家が演じる人情噺「一文笛」については、米団治師が「伏線の置き方やバラシなど、推理小説が好きな米朝だから作ることができた」と振り返ったほか、小澤さんは「人が読むことを意識した読みやすい原稿」、古川さんは「こうした資料を整理していると、研究熱心さが伝わってきます」と感想を述べていました。

 特別公演は、米朝一門が日替わりで総出演(各日8席)し、「ぴあライブストリーム」を通じてライブ配信されます。なお、ロビー展示は朝・昼・夜席入場者のみがご覧になれます。